My Best of 七尾旅人

黄鶏

七尾さんの音楽を知ったのは私が所属していた劇団の上演で「線路沿い花吹雪」を使わせていただいたのが初めでした。今から18年前のことです。
私の演じていた役は自分の赤ちゃんを殺めてしまった女性の役でした。同級生の命日に同友人たちと集まるはずだったのにこんなことになってしまった彼女。

劇の終盤、彼女は自首の意を警察に電話するのですが、最後に七尾さんの「線路沿い花吹雪」がそっと掌で包むように流れます。
罪を犯した彼女を、それを見守る友たちを、その芝居を観ていた観客を包み込むように。

音楽に触れられた、初めての体験でした。
炎症を起こした皮膚のような心に触れられた温かい掌。その後、自分の育児の際にも七尾さんの音楽が私を支えてくれました。

ずっと好きな10曲です。