My Best of 七尾旅人

mitsugo

My Best of 七尾旅人

ガリバー2
まるで宇宙から地球を俯瞰してるみたいな壮大な気持ちになれる前奏から始まって最後までずっとドキドキします。歌詞も繰り返し何度も何度も読んでも褪せなくて、こんなに若い頃から七尾旅人はずっと変わらないんだと思うと心が震えちゃう。歌詞の中のテクジュペリの本は星の王子さまではなくて人間の土地だとわたしは思ってます。地球が味方のような歌だから。飛ばしてた身体が心が、すぐ隣の愛しい人にまたもどってくるような。こんなラブレターをもらってみたかった。たぶん、わたしの人生でこれからもずっと一番たくさん聴く歌です。

八月
どうしてなのかわからないけれど、この歌はわたしの息子をいつも連想させる。小学校からずっと不登校のまま18才になったわたしの息子。たぶん『呼吸を取り戻した僕の二度目の夏休み』という歌詞がそう思わせるんだと思う。聴いてて苦しくなるけれど最後の歌詞の『消えたゴール』でなんとなく救われた気になれるから大切な歌です。

月の輪
『ビビを見た!』という絵本があるのだけれど、この歌を聴くとその絵本にでてくる大きい人、ワカオのことを思い出すのです。ゴーレムと彼が同じ人な気がしてならなくて。守ったのかさらったのかもわからない右手の中の君を、最後の最後に自分の右手ごと線路に放そうと思うところ。右手を切り落としてその右手に滑車をつけようなんて、その発想は子供みたいに純粋で苦しい。『ビビを見た!』とはまるで違う終わりかたなのに、どうしてなのかよく似てるお話だと思うのです。

線路沿い花吹雪
これもまた、苦しくなる歌です。とても引き込まれます。時系列はよくわからない。夏の前と夏の終わりを行ったり来たりしてるような。トンボの季節なのに、舞う花吹雪のことを考えるとこわくなる。星座みたいに鋭角な線を描いて飛ぶトンボは夏が終わる象徴のようで焦燥感に駆られる。それでもなぜか、救いがないようで救いのあるような不思議な感じ。
もしも、神さまトンボだったら鋭角には飛ばないし、蝶々みたいにヒラヒラ飛べる羽を持ってるのに。

ウィッグビーチ
あたしという一人称のせいで途端に女性の歌になるから自分と重ねやすくてつい一体化してしまう。ぼんやりしてるところなんかとくに。でもわたしとまるで違うのは、この子は歌姫なのかもしれないなというころ。だとしたら、打ち上げられた手紙はファンレターなのかなとか、喝采とかスティールパンとか。それなら手のひらでとけていく雪はなんなんだろうとか妄想してしまう。七尾旅人の歌はそんなふうに勝手に自分の頭の中でストーリーが作られていきます。

ヒタ•リーを聴きながら
短い歌。暗転がすごい。つられて暗い気持ちに引き込まれそうになって、でも最後はちょっと拍子抜けの安堵。それにしても七尾旅人って、昔からずっと誰かを驚かしたい人なんだなぁなんて思う。わたしも驚かすことや驚かされることは大好き。

airplane
強烈です。心がえぐりとられます。とくにライブで聴くと、わたしはいつも加害者側に立たされているような気がしてならなくなる。そのやましさに打ちのめされる。でもそうやって気がついて思い出して向き合っていくことができて、真っ当に生きていきたいって思える。政治家の人たちに聴いてほしい。

湘南が遠くなっていく
ラブソング、愛の歌は、ぜったいに人生に必要なもののひとつだから、マイベストには欠かせません。歌詞もメロディも大好き。波の音と七尾旅人の歌声が良すぎて心が簡単に持ってかれる。おばあちゃんになってもずっと聴き続けてドキドキしていたいです。

未来のこと
新しいアルバムの歌。まさに今の歌です。みんな疲れきっていて、嫌気がさしていて、悪いニュースばかりでもう心がクタクタで。それでも光を見せてくれる歌です。
わたしは本当に七尾旅人の歌に何度も何度も救われていて、与えてもらってばかりで、いったいどうやって返していけばいいんだろう。

ストリッパーのおねえさん
アルバム未収録曲だけれど、この歌で七尾旅人がとても好きになりました。
『とっても言えないことだけど』という気づかいとか『昔のちいさなあなたが笑ってる顔』だけじゃなくて『泣いてる顔も見たいな』というその大きさ。初めて聞いたとき安堵の涙がポロポロとまらなくて、この与えられた肯定感ってなんなんだと、そこからアルバムや音源を探して聴きあさりました。
わたしの七尾旅人への入り口の歌です。